こだわり特集
治安の悪化が叫ばれる昨今、住まいのセキュリティ設備は今や部屋を探す上で重要な要素となっています。
セキュリティ関連の基本的な設備といえば、オートロックと防犯カメラ。いずれも目新しい設備ではありませんが、今や賃貸住宅にとって“必須アイテム”といえるほど。また、基本的な防犯設備とはいえ、その機能は日々進化しています。
オートロックとは、住人が持つ鍵によって開けることができる共用エントランスのドアのことですが、建物に出入りする人を限定し、不審者が容易に建物内に侵入できないので、防犯面で効果的です。部屋と建物全体を二重に施錠ができるのが嬉しいですね。特に、TVモニター付きインターホンだと、玄関のドアを開けずに来訪者に応対できるので、より安心です。不審者だけでなく、突然訪ねてくるセールスなどもシャットアウトできます。
オートロックはエントランスのあるマンションならではの防犯設備と思われがちですが、最近ではアパートなど比較的簡素な造りの物件形態にも採用されています。たとえば、オートロック付きのゲートが設置されたアパートのような物件もあります。また、指紋など生体認証が導入されたオートロックも存在します。
昨今の犯罪報道では、防犯カメラの映像が公開されることが多く、街角に防犯カメラを設置したところ、車上狙いや侵入盗が半減したエリアもあるそうです。マンション内の防犯カメラが、犯罪解決に寄与することもしばしば。防犯カメラは、賃貸住宅のセキュリティ面において非常に効果が高いといえるでしょう。
その防犯カメラも、以前はエントランスや自転車置き場など人の出入りがある場所のみに設けられていることが多かったですが、最近では敷地内の要所や部屋の玄関、建物の外などにも設けられています。つまり、第三者が敷地内に入ってから訪問先にたどり着くまでに、何重ものチェックを受けるということであり、それだけ警戒も厳しいということなのです。
また、単に防犯カメラを設置するだけでなく、警備会社と24時間連絡可能なサービスを行っている物件もあります。管理費はやや高くなってしまうものの、セキュリティ面でより安心ですしオススメです。
空き巣の侵入方法として最も多いのが、ガラス窓を破っての侵入といわれています。対策には、窓ガラスの強化が有効です。窓ガラスの種類について、いくつかご紹介します。
何といっても防犯に有効なのが、複層ガラスです。合わせガラスともいいます。2枚のガラスの間に中空層を持たせたガラスで、中間層には特殊フィルムやポリカーボネート、パンチングメタルなどが挟まれています。中間層があるため衝撃物が貫通しにくく、窓からの侵入を防ぐことができます。 また万が一、ガラスが破損しても破片が飛散・落下しにくくなります。耐衝撃性、耐熱性にも優れており、熱であぶっての破砕にも耐えられます。
その他に、網入りガラスや強化グラスなどもありますが、実はいずれも防犯性はそれほど高くありません。前者は火災時の延焼を防ぐためのものなので、外からの侵入防止という点では有効とはいえません。一方、後者も耐衝撃性は高くバットで叩いても割れないほどの強度はあるものの、先端のとがったもので強く突くと粉々に砕けてしまいます。
それよりも、意外に有効なのが防犯フィルム。普通の窓ガラスに防犯フィルムを貼るだけですが、視覚効果で防犯性がかなり高くなることが証明されています。
最近、空き巣の侵入方法として急増しているのがピッキングです。ピッキングとは、鍵穴に特殊な金具を挿入して、シリンダーを回す方法です。また、覗き窓や新聞受けから針金などを挿入し、室内側から解錠するサムターン回しによる侵入も増えています。
こうした不法侵入に対処すべく、最新技術を盛り込んだ錠前が開発されています。まずは電気錠。クルマのキーなどでもお馴染みですね。キーから発する電波を認証して解錠できるという仕組みです。鍵穴がないのでピッキングされない、という防犯性を持っています。
続いては、スマートフォンや携帯電話を使ったキーシステム。“お財布携帯”と同じシステムを利用したものです。スマホや携帯電話にキー情報をインストールし、それを読み取らせることで解錠させる仕組みです。また、耐ピッキング性能を強化した交換用シリンダー錠「CP-C認定錠」も防犯性に優れています。
物件に付随しているセキュリティ設備以外にも、個人でも防犯対策が可能です。たとえば、スマホやパソコンで留守中の部屋の様子を確認できたり、部屋の様子をカメラの遠隔操作でチェックできたりするIT系の防犯サービスやグッズもあります。
より手軽なものとしては、アラームを鳴らして侵入者を威嚇する防犯センサーも有効でしょう。ドアや窓に貼るだけで簡単に取り付けられる上、賃貸マンションなどでも使用が可能です。また、ドアガードはドアの隙間などからバール等を差し込まれないよう扉の隙間をガードし、ドア錠破りを防ぎます。侵入者を感知してフラッシュ光で威嚇する防犯フラッシュライトもシンプルですが、オススメです。セキュリティ防犯ステッカーも単なるステッカーですが、目立つところに貼るだけで泥棒の侵入防止に効果があります。
設備やグッズも大事ですが、セキュリティに対する心構えも必要です。いくらセキュリティ設備が充実していても、物件の立地が治安の悪い場所だったら意味がありません。また、オートロックの部屋に住む人にありがちなのですが、在宅中は部屋の鍵をかけていないケース。オートロックだからといって、安心してしまうのはいただけません。防犯は日ごろの気配りと用心が重要なのです。
いくらセキュリティ設備が充実していても、犯罪による被害に遭う可能性はゼロではありません。万が一、空き巣などに入られてしまったら、まずは落ち着いて被害の状況を確認しましょう。銀行カードやクレジットカード、健康保険証など、悪用される恐れがあるものがなくなっていたら、すぐに警察に盗難届を出すべきです。大家さんや不動産管理会社に連絡して、鍵の交換などを相談することも必要です。
しかし、一番怖いのは物を盗られることではなく、帰宅した際に空き巣と鉢合わせしてしまうことです。お金や物は盗られても再び手に入れることは可能ですが、命だけは戻ってきません。単に物を盗むために侵入したのに、途中で家人が帰宅したために居直り強盗に転じることも多々あります。今や住まいのセキュリティ充実は、物件探しの重要なポイントなのです。