鴻池新田会所について

大阪の豪商鴻池家により建てられました
江戸時代初期の幕府による検地後に開墾された農地は、水田・畑地を問わず「新田」と呼ばれ、日本各地に存在します。
鴻池新田会所は、両替商で財を成した大阪の豪商鴻池家が大和川の付け替えによって流れが途絶えた場所に開発した約200haの新田の管理や運営を行うために建てられた施設で、宝永2年(1707年)から240年あまりにわたり使われました。
この会所は新田の農民から小作料を徴収し幕府へ年貢を納入したり、新田内の田畑・水路・橋・家屋などの維持・補修、現在の住民票に当たる改帳の作成や管理、現在の年金に当たる孝養米の支給のほか、市役所や警察のような機能が与えられており、幕府や鴻池家から農民への伝達や新田内での揉め事の裁定なども行っていました。
国の史跡・重要文化財
鴻池新田会所は今では近代的な市街となった東大阪周辺に残る貴重な歴史的建造物群のひとつです。
10,662㎡の敷地は1976年に国の史跡に指定され、その敷地内には本屋や蔵のほか長屋門・居宅・朝日社などの建物と、生駒山を借景とした回遊式の庭園、鴻池家から寄贈された民具類などがあります。1980年には本屋・屋敷蔵・文書蔵・米蔵・道具蔵と本屋屋敷の宝暦9年(1759年)棟札・米蔵の享和2年(1802年)御札が重要文化財に指定されました。
鴻池新田会所は通年公開されており、春と秋には鴻池新田と河内平野の歴史にちなんだ特別展示や歴史講演会が行われます。
観覧時間は午前10時から午後4時まで、観覧料は大人300円・小中学生200円です。祝日を除く毎週土曜日の午前中は小中学生・高校生は無料です。休館日は月曜日と祝日の翌日(土・日曜を除く)です。
また、居宅などを貸室として有料で利用でき、俳句会や茶会を行うことが出来ます。
鴻池新田会所はJR学研都市線(片町線)鴻池新田駅から5分ほどの場所にあります。
歴史や江戸時代の生活や文化を学ぶことが出来、タイムスリップしたような気分が味わえる鴻池新田会所は学生さんにも大人の方にもおすすめです。一度訪れてみてはいかがでしょうか?
執筆者:谷口 秋代