テラスハウスは共同生活を送る住宅じゃない!? テラスハウスの本来の意味

「テラスハウス」と聞くと、シェアハウスで同居する男女の“リアリティ・ショー”をカメラで追いかけるテレビ番組を思い浮かべる方は少なくないでしょう。この番組の人気に伴って、「テラスハウス」という言葉の認知度も高まったのではないでしょうか。

そのため、「テラスハウス」は「複数人が共同生活を送るためのシェアハウスのこと」だと思っている方もいらっしゃるようですが、実際にはそうではありません。テラスハウスとは、本当はどのような住宅を指す言葉なのでしょうか。賃貸物件を探すなら知っておきたい「テラスハウス」についてご紹介します。

テラスハウス＝シェアハウスと思っている人が多い

テレビ番組『テラスハウス』は、縁もゆかりもない男女6人があるシェアハウスで同居するなかで、さまざまな青春模様を繰り広げる“リアリティ・ショー”を記録したもの。2012年の放送開始以来人気を博し、映画版も制作されているほどです。

その人気から、この番組で「テラスハウス」というタイプの物件を知った方も多く、特に若い世代の方のなかには、「テラスハウス」を「複数の住民が共同生活を送るためのシェアハウス」「大きな家を仲間たちとシェアする家」と思っている方も少なからずいるようです。

そのため、賃貸物件を探す際にも、「自分はシェアハウスをするつもりはないから、テラスハウスは関係ないな」と考える方もいるでしょう。しかし、それは大きな誤解です。

実際のテラスハウスとはどういう住宅なのか、テラスハウスのメリットやデメリットがどういうものなのかといったことを理解しておくと、賃貸物件を探す際に役立つでしょう。

テラスハウスの本当の意味

住宅には、複数の戸建て住宅が壁を共有して連なっている建物（集合住宅）があります。これを「長屋」といいます。一般的な長屋は平屋（１階建て）ですが、２階建てや３階建ての長屋もあります。これが「テラスハウス」です。

テラスハウスのルーツはかつてのイギリス貴族がロンドンに所有していた別荘で、今も市街地などで数多くの人が住まう住宅形態で、アメリカやカナダ、オーストラリアやシンガポールなど世界各国で普及しています。

テラスハウスはすべての住戸が地面と接しており、それぞれに玄関が設置されます。一般的なマンションのような「共用のエントランス」はありません。玄関のなかはメゾネット（二層構造）になっており、室内に１階と２階・３階を行き来するための階段があります。

一つの住宅に複数人が入って住むシェアハウスは、室内に個室はあるものの住戸としては「一つの（戸建て）住宅」というイメージであり、トイレや風呂、キッチンといった設備も個室ごとにあるわけではありません。

対してテラスハウスは、集合住宅という大きな棟のなかに小さい住戸が２軒から５軒ほど連なる形で入っており、それぞれが独立した住戸。キッチンやトイレといった設備も、もちろん住戸ごとに設置されています。

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テラスハウスに住むメリット

テラスハウスの大きなメリットは、集合住宅でありながら一戸建てのような感覚で住まうことができる点です。一般的なマンションやアパートといった集合住宅は、上下左右の壁や天井がほかの住戸と接しており、エントランスや廊下、階段も共用です。

各戸が独立しているテラスハウスは、隣の住戸との境界壁こそ共有してはいますが、それ以外は普通の一戸建てと同様です。特に、上下階にほかの住戸がなく音を気にせずに済むという点は、子育て中のご家庭にはメリットを感じやすい点ではないでしょうか。

一戸建てに住みたいと考える方は多くおられますが、一戸建て住宅の賃貸物件はそれほど多くなく、家賃も安くありません。テラスハウスは、一般的な賃貸の戸建て住宅の家賃よりも安めに設定されている傾向があるのもうれしいポイントです。

一戸建て住宅に住みたいと考える方に多いのが「庭がほしい」という声。地面と接しているテラスハウスでは専用の庭スペースが付いている物件もあり、自分専用の庭としてガーデニングや日曜大工を楽しみやすいです。

テラスハウスのデメリット

テラスハウスのデメリットとしてまず挙げられるのは、「騒音」の懸念でしょう。前述のとおり、上下階にほかの住戸はありませんが、隣の住戸とは境界壁を共有しています。そのため、防音性能や壁の厚みなどによっては隣家の音が気になることもあるのです。

同じく、隣家と境界壁がつながっているというところから生じるデメリットとしては、「窓が少ない」という点もあります。これは、一般的なマンションやアパートの中部屋と同様といえますが、通常の一戸建てとは異なる点です。

戸建て感覚で住めるものの集合住宅であるテラスハウスは、集合住宅に住まう方々が気持ちよく生活を送れるようにするために一定のルールや制限が設けられていることがよくあります。これは、入居前に確認しておきたいポイントといえます。

おわりに

このように、テラスハウスは「戸建て感覚を最大限取り入れた集合住宅」といえ、一般的なマンションやアパートでは得られないような魅力のある物件です。一戸建てに住みたいけど現実的に難しいという方にもおすすめです。

とはいえ、テラスハウスの賃貸物件もそれほど多くないのが実状です。賃貸物件検索サイトを活用しながら、地域を広げたり検索ワードを利用したりするなどして探してみましょう。

また、テラスハウスにはデメリットも少なからず存在します。木造のテラスハウスも多く存在しますので、物件を内見することがあればそうした点も考慮しながら見学するといいでしょう。

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執筆者：編集部